あと10秒起きるのが遅れていたら、サミーは戦車に轢かれて死んでいた。
夢の中でサミーは、カシューナッツの匂いのする町で、町の人にぜんぜん知らない言葉で
話しかけられていて、何か答えようとしたところで目が覚めた。
ゴゴンゴゴンゴゴン、と戦車の音と揺れをサミーは受け入れ、喜びにやける。
サミーはそれが硬い鉄の乗り物だとは知らない。大きな陸ガメだろうと思っていたサミー。
町で悲鳴が聞こえる。町で悲鳴が生まれている。
サミーはもう怖くて怖くて、サミーはその大きな陸ガメの下に潜り込もうかと考えたが、
陸ガメはもうどこか遠くへ行って、タマゴをたくさん発射していた。
タマゴが割れると悲鳴が生まれる。
サミーの鼻息はとてもつよく、荒くなっていった。以前海に落っこちて、助けれたあとの鼻息と同じくらいだ。
実際はサミーの耳には、自分の鼻息の方が大きく聞こえているのだが、
サミーはタマゴから生まれる悲鳴の方が大きく聞こえるように感じている。
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