藻だらけのサミーは今、旅をしている。いい匂いのする町へ向かって。
藻の中には、小さいエビやらカニやらが潜んでいるので、
それを食べて空腹を満たすサミー。
「フライにするとおいしいなあ」とご想像にお任せしておりますと、ドジっ子サミーは
頭を何かにぶつけてしまいました。
「あいてー」それは大きくて広いカベ。灰色のカベ。
サミーのいる港町は、実は、他の町と対立していたので、巨大なカベでもって町を
囲んでいたのです。誰も入らないように、誰も逃げないように。
「ゴツゴツしてるなあ」とサミーは思いました。そして、その感触でおじいさんのことを
思い出してしまい、サミーは少しセンチメンタルを感じました。
サミーは、子供たちの生き様をレタスで例える話しが好きです。
「子供はね、レタスなんだよ。つまりよく育つということさ」
力いっぱいサミーは動き続けます。カベに手をあて、カベに沿って進んでいきます。
サミーにはいつも夜ですが、もうすっかり夜になっていました。
いつしか、カモメの鳴き声と波の音が聞こえてきました。
元の町に戻ってきてしまったことを悟ったサミーは、そのままそこで寝てしまいました。
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