サミーはまだ11歳の子どもで、5歳のときにニンニクを目に擦りつける遊びのせいで
目が見えなくなってしまっている。サミーは外でも家でも這いつくばって、手で危険が
ないか確認しながら移動する。フジツボが体中にあるおじいさんとサミーは友達だが、
サミーはフジツボがあることを知らないから友達でいてくれてるんだとおじいさんは思っていたので、おじいさんはサミーの目をもっと悪くしたい衝動にかられたが、次の日にはすぐ死んだ。サミーはおじいさんの体、冷たい体に初めて触って、ゴツゴツしていたので、これはおじいさんではないと思った。サミーの世界からおじいさんが消えた。
サミーが住んでいるのは港町で、犬や猫が市場の魚を食い荒らすのが問題となっている。シューズを欲しいとねだる子供、息絶えた小さな人。「みんな健康そのものだったのになぁ」とみんなに思われながら死んでいった。何と、イギリスの海兵がこの町を見て
「シーシーシー」と言ったとか言わなかったとか。
サミーは町を出る決心をした。他の町はもっといい匂いがしているはず、だって風が生まれるのは陸の中央の町だもの、と考えていたのだ。
サミーは這いつくばって町を歩いた。犬のフンとかコインとかをサミーは触っている感じがあったが、それはほとんどでっち上げで、実は何も触ってはいないのだ。
「サミーよ、これからの旅はつらいぞ」と大きな男が声をかけた。
サミーは「大丈夫さ、食べものはいっぱいあるしね」と言うが、目が見えないので
それが食べられるキノコかどうか判断できない。
大きな男はサミーを担いで遠くへ放り投げた。その男は町一番の怪力だから
サミーは100メートルくらい向こうへ飛んだが、サミーはその飛んでる間気分が良かった。でも運が悪いことに、落ちたところは臭い池で、サミーの気分は台無しになった。
泳いで脱出しようとしたが、目が見えないので、あとどれくらい泳げば岸にたどり着くのか
わからず、つらい気持ちだった。「旅はつらいなあ、男の旅は」と思いながら、藻だらけの
サミーは岸にたどり着いた。
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